ここでは、工場で働いていた方と、そのご家族のために、アスベスト健康被害や給付金に関する情報をまとめました。
アスベスト(石綿)工場で働いていた人が粉じんにばく露し、アスベスト(石綿)関連疾患を発症してしまった場合、元工場労働者やその遺族が国を相手に訴訟を起こすことで、賠償金を得られる可能性があります。
賠償金の受給対象となるのは、大阪泉南アスベスト訴訟の最高裁判決に基づき、以下の要件をすべて満たす元労働者、もしくはそのご遺族の方です。
賠償金(和解金)額は、症状に応じて550万円から1,300万円です。
「じん肺管理区分」とは、事業者により行われるじん肺健康診断によって、じん肺を区分したものです。症状の度合いによって管理1、管理2、管理3イ、管理3ロ、管理4の5段階に分かれています。数字が大きくなるほど、じん肺の病態が重度であることを示しています。
なお、じん肺とは、「粉じんを長い年月にわたって多量に吸い込むことで、肺の組織が線維化し、硬くなって弾力性を失ってしまった病気」のことで、アスベスト(石綿)粉じんの吸引によって発症する石綿肺もじん肺の一つです。
仕事によってアスベスト粉じんにばく露し、中皮腫・石綿起因性肺がん・石綿肺・びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水などの疾病を発症した方は、労災保険給付を受けることが可能です。
労災保険は、アスベスト訴訟とは全く別の制度のため、賠償金(和解金)を受け取っている方でも、労災保険給付を受けることができます。
給付内容は、「療養(補償)給付」「休業(補償)給付」「傷病(補償)年金」「傷病(補償)年金」「介護(補償)給付」「遺族(補償)給付および葬祭料(葬祭給付)」の6種類です。
介護が必要と認定された場合にサービスを受けられる介護保険。
65歳以上で中皮腫・原発性肺がん・石綿肺・びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水などに罹患した人、もしくは、中皮腫・肺がんを発症し、40歳~64歳でも一定の要件を満たしている場合、介護保険申請の対象となる場合があります。
給付内容は、訪問介護・訪問介護・訪問入浴介護・訪問リハビリテーションなどのサービス(施設サービス)や、食事、排せつ、入浴の介助などです。
申請先 | 市町村またはお住まいの地域を管轄する地域包括支援センター |
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必要書類 | ①要介護認定申請書、②介護保険被保険者証(65歳以上)※40歳~64歳の場合は、健康保険被保険者証を提示 |
給付の内容 | 軽度者に対する福祉用具貸与の例外給付(「車いす及び車いす付属品」、「特殊寝台及び特殊寝台付属品」など)、訪問介護、訪問介護、訪問入浴介護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導など介護保険施設で受けられるサービス(施設サービス) 医療、介護、リハビリテーションなど地域の小規模老人ホームなどで受けられるサービス(地域密着型サービス) 食事、排せつ、入浴の介助など、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護など |
雇用されている方で、中皮腫・原発性肺がん・石綿肺・びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水といったアスベストが原因の病気になり、治療などの関係で会社から給与などがもらえない場合に給付を受けることができます。
支給される金額は、1日あたり「支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額」÷30日×(2/3)が基本です。
ただし、労災保険制度における休業補償を受けている方は受けることができません。また、傷病手当金を受け取った後に労災認定された場合は、支給分を返還する必要があります。
申請先 | 雇用されている会社を通じて、健康保険組合や協会けんぽなどの保険者へ |
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必要書類 | 健康保険傷病手当金支給申請書など |
給付の内容 | 傷病手当金 |
中皮腫・原発性肺がん・石綿肺・びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水など、アスベストが原因の病気になった方で、初診日から1年6ヶ月経った後も日常生活や働くことが難しい場合、「障害基礎年金」か「障害厚生年金」が支給されます。
年金事務所または市区町村に、年金請求書、受診状況など証明書などを提出して申請します。
労災保険制度における休業補償や障害補償年金との併給もできますが、労災保険制度の給付が併給調整で減額されるので要注意。
また、年金額は、標準報酬月額などによって異なります。
申請先 | 年金事務所または市区町村 |
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必要書類 | 年金請求書、受診状況など証明書など |
給付の内容 | 障害基礎年金(18歳年度末(高校卒業時)までの子がいる場合は加算あり)、障害厚生年金(配偶者がいる場合は配偶者加給年金あり) |
中皮腫・原発性肺がん・石綿肺・びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水など、アスベストが原因の病気になった方で、身体の障害が一定の条件にある方は「身体障害者手帳」が交付され、税金の優遇や医療関係装具の購入費軽減、日常生活用具の支給など、さまざまなサービスや経済的な支援を受けることができます。
申請先 | 市区町村(福祉事務所や福祉担当課) |
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必要書類 | 身体障害者診断書・意見書など |
給付の内容 | 税金の優遇(所得税、住民税、自動車税、相続税など)、各種割引・優遇(飛行機・電車・バスなどの運賃、高速道路などの有料道路料金、NHK受信料、福祉タクシー料金など)、補装具・用具費の支給(人工肛門、人工膀胱、介護ベッドなどの購入に際し給付券を配布)、手当や貸付など(手当給付〔重度の障害がある方が対象〕、生活福祉資金の貸付)、就職・転職などの支援 |
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