アスベスト(石綿)工場で働いていた人が粉じんにばく露し、アスベスト(石綿)関連疾患を発症してしまった場合、適切な規制権限を行使しなかった国を相手に訴訟を起こすことで、賠償金を得られる可能性があります。
ここでは、アスベスト工場で働いて被害を受けた方への賠償内容と申請方法などを分かりやすくご紹介します。
平成26年10月9日に下された大阪泉南アスベスト訴訟における最高裁判決によって、国が定める和解要件を満たす方については、病状に応じた賠償金(和解金)が支払われることになりました。
賠償金の受給対象となるのは、以下の要件をすべて満たす元労働者、もしくはそのご遺族です。
賠償金(和解金)額は、症状に応じて550万円から1,300万円です。くわしくは以下の通りです。
「じん肺管理区分」とは、じん肺健康診断に基づいてじん肺を区分したものです。症状の度合いによって管理1、管理2、管理3イ、管理3ロ、管理4の5段階に分かれています。(以下の表参照)
数字が大きくなるほど、じん肺の病態が重度であることを示しています。
じん肺管理区分 | じん肺健康診断の結果 | |
---|---|---|
管理1 | じん肺の所見がないと認められるもの | |
管理2 | X線写真の像が第1型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの | |
管理3 | イ | X線写真の像が第2型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの |
管理3 | ロ | X線写真の像が第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の、3分の1以下のものに限る。) で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの |
管理1 |
1 X線写真の像が第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超えるものに限る。)と認められるもの 2 X線写真の像が第1型、第2型、第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの |
アスベスト工場で働いていて被害を受けた方が賠償金を受け取るためには、要件を満たすだけでなく、国に対して訴訟提起して、裁判上の和解をするという手続きが必要です。
個人で行うこともできますが、和解要件を満たすことを証明する証拠を提出しなくてはならない上、所定の様式での申請や請求を行わなければならず、あらかじめ知識がないと、膨大な時間や労力がかかってしまいます。
また、一度訴訟が棄却されると、和解のハードルも上がるので、あらかじめ弁護士に依頼するのがおすすめです。
アスベスト(石綿)の賠償金手続を弁護士に依頼する場合、一般的に「相談料」「着手金」「実費」「事務手数料」「報酬」などがかかります。このうち、相談料と着手金は無料としている事務所が多いようです。
当サイトの取材に協力してくださったFAST法律事務所さんも、相談無料です。
実費は、健康診断や検査にかかる費用、医師による診断書作成にかかる費用、訴訟提起に必要となる収入印紙代などのことで、これらは、依頼者の自己負担となります。
事務手数料と報酬は、給付金や賠償金(和解金)の10~20%程度ですが、事務所によって、あるいは訴訟をする相手によって異なるので、依頼する前によく確認しましょう。
弁護士に相談をしてから、実際に給付金・賠償金を受け取るまでの流れは、おおよそ以下のとおりです。
問い合わせ後、初回相談で、弁護士が依頼者の抱える事情を丁寧にヒアリング。
その上で、賠償金を得られる見込みがどの程度あるのか、そのためには何をすべきかなど、事件解決への大体の見通しを示してくれます。
依頼者が正式に依頼を行うと、アスベスト訴訟の提起に向けた準備がスタートします。
要件を満たすことを証明する書類を揃えて、手続を進めます。必要な書類は以下の通りです。
実は地味に大変なのが、この書類準備。
たとえば診断書の場合、アスベストに知見がない医師に依頼すると、症状があるのに傷病だと認めてもらえなかったり、診断書自体を出してくれない場合があります。
また、障害(補償)給付などの後遺症に関する診断書については、診断書に情報が正しく記載されないと、状態に合った認知がされないので、記載内容が非常に重要です。
弁護士に依頼すると、「どんな書類をどうやって集めるか」「どんな記載が必要か」を随時アドバイスしてくれるので安心です。
必要な証拠を整え、訴状等の作成が完了したら、訴訟を提起します。
裁判手続は弁護士が対応するので、原則本人や遺族の方が裁判手続をすることはありません。
提出された証拠から和解要件を満たすと裁判所に判断された場合、病状に応じた和解が成立し、訴訟は終了。
賠償金(和解金)が支払われることになります。
当サイトは、Zenken「アスサクラ」編集チームが厚生労働省などのわかりにくい情報を、わかりやすくお届けしようと制作しています。
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ただ、それで手にできるかもしれないお金をあきらめてしまうことは、皆さんやご家族が受けた苦痛や苦しみに比べて、あまりにも哀しすぎます。
ぜひ、まず弁護士に相談という第一歩を踏み出してください。
当サイトの記事確認など、取材に協力していただいたのはFAST法律事務所。
「法律事務所を利用したことが無いので不安」という方でも、安心できるように、「町のお医者さん」のように相談頂ける環境を目指している法律事務所です。
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