アスベストは3,000種とも言われるほど多岐にわたって使用されている素材ですが、そのほとんどは建材製品です。メディアでもその危険性は広く取り上げられていますが、どのような場所に使用されているかご存じでしょうか。ここでは詳しく解説していきます。
アスベストは遥か昔、ミイラを包むための布を織る素材として使用されていたと言われています。産業革命以降はアスベストの特性が活かされる場面が増え、数千種類もの用途があったとされています。日本では1970年頃から1990年頃にかけて広く使われるようになり、その8割を建築資材が占めていました。アスベストはセメントや石灰質原料、ケイ酸質原料などと混合することでそれらの補強材として使用され、他にも耐火被覆材・防音用の吹き付けアスベスト・配管の保温材などの用途にも用いられていました。
2004年にはアスベストの製造・輸入が完全に禁止されるようになりましたが、前述のような建築資材に多く使われていたため、学校や病院などの公共施設に加え、マンション・ビルなどの民間の建物に今も現存しています。アスベストが用いられている資材は「吹付石綿」「石綿含有吹付ロックウール」「個別認定石綿含有吹付材」「石綿含有保湿剤」などがあります。これらは設計図書に記載されている建築資材の表記を見ることで確認できるので、不安な方は確認してみるとよいでしょう。なお、現在でもアスベストの輸出入を行っている国は存在しており、アジア諸国においては安全な対策が講じられないまま船舶解撤などが行われているため、健康被害が懸念されています。
吹き付けアスベストは1956年ごろ~1975年ごろに使用されていたもので、アスベストにセメントなどの結合剤と水を加えて混合し、吹き付け機を使って施工します。種類としてはアクチノライト・クリソタイル・アモサイト・クロシドライト・アンソフィライト・トレモライトと呼ばれるものがあります。
吹き付けロックウールは1975年ごろ~1989年ごろに使用されており、ロックウールとは鉄炉スラグなどに石灰を混合し、高温で溶解し生成する人造鉱物繊維です。アスベストの原則禁止に伴い代替材として広く使用されるようになりました。吹き付けアスベストが1975年に原則禁止となったため、その後使用されるようになりましたが、1989年ごろまでは含有量が重量の約5%以下ではありながらもアスベストを混ぜて使用されることがありました。
化学プラントやボイラー本体、配管などの保温に際して、クリソタイルやアモサイトを使用した保温材が使用されていました。例としては珪藻土保温材やパーライト保温材、石綿ケイ酸カルシウム保温材、バーミキュライト保温材、水練り保温材などが挙げられます。
アスベストを含んだ建築材は、天井や壁・床などの内装材に加え、屋根や煙突といった外装材にも使用されていました。窯業系サイディングや押出成形セメント板、繊維強化セメント板、石膏ボード、ロックウール吸音天井板、住宅用化粧スレート、塩化ビニル石綿床タイル、石綿セメントなどがその例に挙げられます。
石綿含有摩擦材として自動車やクレーン、エレベーターなどで使用されているほか、断熱材用接着剤や耐熱・電気絶縁板、ジョイントシート、シール材、工業製品材料、ブレーキ、低圧管、高圧管、パッキングなど多岐に亘って使用されています。また、経済産業省が調査した結果によると、家庭用品の一部製品にもアスベストが使用されていると言われており、トースターやオーブンレンジ、電気コンロ、電気ポット、ジューサーミキサー、エアコン、冷蔵庫、こたつ、電気ストーブなどの身近な電化製品にも使用されている可能性があるようです。さらにファンヒーター、ボイラー、ストーブ、ガスオーブン、ガスコンロなどのガス・石油製品、自転車・金庫・釣り用のリールなどあらゆる身近なモノにアスベストが含有されている可能性があります。
アスベストが使用されている可能性の高いところとしては、外壁や区画壁をはじめトイレ・台所などの天井・壁・床、部屋・廊下などの天井・壁、玄関や階段の天井、機械室などの天井・壁・鉄骨の梁や柱、配管のエルボ、配管汚接合部、排水管などがあります。
住宅では窯業系サイディングをはじめ、石綿セメント円筒、住宅化粧用スレート、石膏ボード、フロアシート、ビニル床タイル、ケイ酸カルシウム板第一種などにアスベストが使用されている可能性があります。2004年に製造・使用が中止されるまでに建築された住宅であれば使用されている可能性があるので、該当する期間に住宅を建築・購入された方は注意して確認しておくことをおすすめします。ただし、吹き付けアスベストや石綿含有保温材・耐火被覆材・断熱材などであれば、木造一戸建てに使用されている可能性は極めて低いと考えられます。しかし、集合住宅や規模の大きい住宅であれば使用されている可能性があるので、確認しておくことをおすすめします。
ビルなどにおいてはエレベーターシャフトや機械室、屋根裏、煙突の断熱、天井裏や柱・梁、エアコンなどの機械室、庇裏、車庫・駐車場などにアスベストが使用されている可能性があります。昭和期に建てられた鉄筋コンクリートの建物は特に使用されている可能性が高いと考えられており、ビルのみならず学校や役場などの公共施設、病院・工場など広くその危険が潜在しています。
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