古代エジプトでミイラを包む布として使われたり、古代ローマでランプの心として使われるなど、遙か昔から生活の身近にあったアスベスト。しかし1970年代ころから有害性が問題視され、日本でも規制と被害への補償が行われています。
ここでは、日本におけるアスベスト規制の歴史を時系列に沿ってご紹介します。
日本におけるアスベスト年表
- 平安時代
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- 古くから使われてきたアスベスト
石綿(アスベスト)は天然の鉱物繊維で、耐熱性や防音性、絶縁性などさまざまな特質を持っているため、古くから重宝されてきました。
平安時代初期(800年ころ)に書かれたとされる「竹取物語」では、かぐや姫が求婚者の一人要求した「火鼠の皮衣」がアスベストであったと推測されていますし、また1764年に平賀源内が秩父の山の中で発見し、「火浣布」と名付けて幕府に献上したものも、アスベストであったことが判明しています。
- 1885年
(明治18年)
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- アスベストの製造・輸入がスタート国内では、1885年(明治18年)に神戸・小野浜造船所で石綿の製造が始まりました。
また、1887年(明治20)からは輸入がスタート。
1894年(明治27年)に勃発した日清戦争では、清国の戦艦にアスベストを用いた保温材などが使われているのが分かり、日本の戦艦などにも多量のアスベストが使われるようになりました。
- 1950年代
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- さまざまな建材への利用が広がる
アスベストは、生活のいたるところで使用されてきました。
その用途はなんと3,000種と言われるほど。
特に石綿工業製品や建材製品に使われ、高度成長期を迎えつつある中で、高層ビルや鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として多く使用されました。
また、1950年には朝鮮戦争が勃発し、スレート需要が増加。アスベストの使用量がさらに増加しました。
- 1960年代
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- 健康被害が指摘され始めるも、輸入はピーク
1960年代に入ると健康被害が指摘されるようになり、1964年に建築基準法の改正、1965年には旧日本産業衛生協会によってアスベストの許容濃度が設定されました。
その一方で日本でのアスベスト使用量は増え続け、昭和40年代後半(1970~1980年頃)のピーク時には、年間30万トンを超える石綿が輸入されました。
- 1970年代
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- アスベストの規制が始まる
すでに海外ではアスベストの有害性が取り沙汰されていましたが、日本では1970年代になってようやく関心が持たれるようになりました。
日本でアスベストの法規制が始まったのはこの頃です。
まず、1975年に特定化学物質等障害予防規則が改正され、アスベスト含有率が5%を超える場合、吹き付け作業が禁止されました。
以降、段階的に使用禁止が定められ、2012年3月に、全面使用禁止となっています。
ただし、すでに使用されている物には使用禁止の規定は適用されていません。
- 2005年
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- クボタ・ショック
早い段階から、科学者はアスベストのリスクを知っていましたし、マスコミ報道もあるなど注目はされてきました。
しかし、アスベストの代替品がなかったため、規制は先延ばしにされてきました。
アスベストによる健康問題が社会的な関心を集めたのは、2005年です。
アスベスト建材を製造するクボタ神崎工場(尼崎市)の従業員に中皮腫や肺がんなどアスベストによる健康被害が多発し、多くの死者が出ていたこと、工場の近隣の住民や従業員の家族も中皮腫を発症・死亡していたことが判明。
アスベスト禁止の風潮が強まることになりました。
2006年
3月27日
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- アスベスト新法施行
アスベストの被害が全国に広がっていることが知られ、救済を求める世論に押される形で「石綿新法(アスベスト新法)」が成立。
被害者への補償体制を整えると共に、アスベスト含有率が1%を超える製品の製造、輸入や使用などが禁止されました。
その後、患者・家族の努力によって何度も法改正が行われ、2012年からは分析用の試料を除き、石綿の使用を全面的に禁止。
被害者・遺族への保証内容の拡大や請求期限の延長など、引き続き内容の充実が図られています。
近年の被害状況について
アスベスト被害は約40年間という長い潜伏期間が特徴のため、1960~80年代に大量のアスベストが使用されていた日本では、被害のピークは2030~34年ごろとされています。
実際、厚生労働省の統計によると、中皮腫による死亡者は1995年の500名から、2020年の1,605名まで3倍以上と、年々増加しているようです。また、過去に建てられた建物の解体工事が今後増えることが予想されており、被害予防策などの対策も急がれています。
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