一昔前はさまざまな建築物・建造物に使用されていたアスベスト。現在では、中皮腫や肺がんなど深刻な健康被害を誘発する物質であるということがわかっています。危険を避けるためには、みだりに触れず、専門業者による適切な方法で処理しなければならないアスベストですが、その見分け方は一般にはあまり知られていません。ここではアスベストの見分け方について解説します。
アスベストを見分けるには、まずアスベストの使用が疑われる住宅が、いつ建てられたものなのかを確認しましょう。基本的に2007年以降に建てられた住宅にアスベストは使用されていません。
アスベストは建物の外壁・屋根・断熱材などに1950年代から使用され始め、60年代に最も多く使用されていました。しかし、1975年の労働安全衛生法施行令で含有率5%以上の吹き付けアスベストが使用禁止となります。
代表的なアスベストには白石綿、青石綿、茶石綿などがありますが、青石綿と茶石綿は1995年に製造と使用が禁止され、白石綿も2004年10月から禁止となりました。
その他のアスベストについても、2006年には石綿および石綿をその重量の0.1%を超える含有量の物の製造等が全面禁止(代替えが難しい適用除外製品等を除く)となり、一般の住宅にアスベストを使用することはできなくなりました。
外壁材や屋根材で、アスベストの使用が疑われる建材は次のとおりです。
とくに2004年以前に建てられたスレート屋根の住宅は、アスベストが含まれている可能性が高いので注意が必要です。2006年以前に建てられた住宅で、これらの使用が疑われる場合は仕様書や矩形図を確認してみましょう。アスベストの有無が仕様書や矩形図からわからなくても、建材のメーカーがわかれば、メーカーのサイトからアスベストの有無や含有量を調べられます。
アスベストにセメントなどの結合剤と水を混合し、吹き付け機を使用して吹き付けたものは「吹き付けアスベスト」と呼ばれています。吸音や断熱を目的として使用されていました。表面はふわふわとした綿状で柔らかく、色味は青灰色・ベージュ色・灰白色・白色など。針を刺すと簡単に数cm程、突き刺さります。
おもな使用場所は、鉄骨建造物の梁や柱、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造建造物の天井や壁、公共施設などでは空調機械室やボイラー室・エレベーター機械室・駐車場などの天井や壁などです。
ロックウールをセメントやアスベストと混合し、機械を使用して噴出させ、天井などに付着させたものです。現在製造されている吹付けロックウールに、アスベストは含まれていませんが、1987年まで製造されていた吹付けロックウールには製品重量の0.1%を超えるアスベストが含まれていました。
外見や特徴は吹付けアスベストと非常によく似ており、使用場所も酷似しているため素人が見分けるのは困難です。
ひる石(バーミキュライト)とアスベストを混合し、機械を使用して噴出させ、天井などに付着させたものです。現在製造されている吹付けひる石(バーミキュライト)に、アスベストは含まれていませんが、1989年まで製造されていた吹付けひる石(バーミキュライト)には製品重量の0.1%を超えるアスベストが含まれていました。
外見は表面に凹凸があり、触れると弾力があります。針を刺しても吹付けアスベストや吹付けロックウールのように簡単に貫入はしませんが、まったく針が刺さらないわけではありません。廊下や階段部分など結露の可能性がある場所や、音の反射を防ぎたい場所の天井や壁に使用されていました。
薄い鋼板を使用した屋根材である折板にアスベストを貼り付けたのが折板裏打ち石綿断熱材です。表面はスポンジ状・ゴム状・ウール状・おこし状などで、硬さはありません。断熱や吸音を目的として、車庫や渡り廊下、物置小屋などの金属折板屋根の裏側に使用されていました。
アスベストを専門知識のない素人が目視で判断するのは難しいのですが、ある程度判断できる方法があります。
まず、アスベストの使用が疑われる建物内の天井や梁から綿状のものが垂れ下がっていないか確認しましょう。1995年以前に建てられた建造物であれば、経年劣化により吹付けアスベストが垂れ下がってきている状態であると考えられます。
ここから紹介する方法は手に取って直接判別する方法ですが、万が一、アスベストが含まれている建材だった場合を考慮し、誤って吸い込むことがないよう保護具などを着用して十分注意のうえ、行いましょう。
吹付け材などアスベストの使用が疑われる材料を手に取り、お酢をかけてみましょう。アスベストは酸に強いため、変化がなければアスベストの可能性が高く、溶けてしまう場合は、外見がアスベストと似ているロックウールであると判断できます。
また、疑わしい材料を手に取り、指でこすってみる方法もあります。繊維状のものが残り、砕けていない場合はアスベスト、粉々に砕けてしまう場合はロックウールの可能性が高いでしょう。
住宅が建てられた時期や仕様書・矩形図から使われている建材を調べることで、アスベストの有無が判断できます。また、これらの情報がなくても目視や手に取って確かめることで、アスベストが使用されているかどうかをある程度、判断することが可能です。
しかし、最終判断は専門知識のない素人では難しいので、アスベストの使用が疑われる場合は専門業者に相談し、判断してもらいましょう。そのうえで、適切な処理を依頼するのがおすすめです。
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